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生花(しょうか)基本の『き』

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◆花材 :  葉ラン
◆花型 :  生花 正風体
◆花器 :  陶器

いけばな池坊人が、一度は耳にする言葉。

『池坊では、葉ランに始まり、葉ランに終わる』

お生花(しょうか)をきちんと学びたい方なら、必ず! 絶対に! (← しつこい…)
お稽古しておきたいいけ方のひとつです。

花を一切使わず葉のみで、陰陽、葉選び、陰陽、枝のため方などを
きちんと習得するために欠かせないのですが、言い換えると、
生花(しょうか)基本の『き』を学ぶにはとてもいい花材です。

ということで、生徒さんに、一枚一枚説明しながら、いけていただきました。

この作品は、7枚いけですが、枚数を増やして、9枚、11枚、13枚、15枚いけもあります。


実は、以前にこれを生徒さんにレッスンしようと思って市場で仕入れたところ、
使えないお花がたくさんありました。

というのは、市場ではほとんど10本単位で束になって売られているのですが、
その10本が全て、「裏葉」だったのです。

葉ランという葉は、一枚の葉において茎をはさんで左右の幅を微妙に違えて、
バランスよく倒れないように成長していくのですが、どういうわけか、売られている束は、
左が幅広のものばかりが、ひと束になっていたのです。三束購入しましたが、同様でした。
自然の中で成育する姿をいける生け方である、「生花(しょうか)」にとっては、
片側のみの葉でいけることは不可能なのです。


池坊のいけばなにおいて、この葉ランが大切なお稽古花であることを、
それだけ認知されていないのだと感じて、正直、とても寂しい思いがいたしました…。
500余年も重ねてきた日本のいけばなの歴史の中で、幾たびこの葉ランが
生け続けられてきたのかを考えたとき、とてもとても悲しくなった次第です。



しかし、私はそれ以来、お生花をいける目的で葉ランを購入するときは、束の中身を
確認させてもらうようになりました。そして、中身を確認しなければならない理由を聞かれたら、ちゃんと答えます。

「いけばなでは、こういう自然の性状を大切にしてお花をいけるからなんです。」

ええ、アタクシ、完全に図々しいオバさんになってお願いしています。^^;
でも、ちゃんと説明すれば、それで怒る方はいらっしゃいません。



ちなみに、この葉ランのみのこのお花、外人さんや若者に大変人気があります。
葉っぱだけですから、斬新、モダンといった印象を受けるのでしょう。 私も大好きです。

『池坊では、葉ランに始まり、葉ランに終わる』

何年経っても、大切に生けたいお花のひとつです。




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by hoansan | 2008-12-05 15:18 | ★いけばな&レッスン
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